社会貢献
サンゴの危機を救ってください!!! いま、私たちの美しいサンゴ礁が、人間活動の影響を受け、これまでにない規模と速度で消滅しています。このプロジェクトは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の佐藤矩行教授とそのチームが、独自に開発した世界初のサンゴのeDNA (環境DNA)解析技術や、これまで積み重ねてきた最先端のゲノム研究知識や技術を活用し、サンゴの植え付けやモニタリングを行うことで、海の生物多様…
プロフィール
OIST マリンゲノミックスユニット 教授 / OISTサンゴプロジェクト プロジェクトリーダー 佐藤矩行
京都大学教授を退官後、2008 年よりOISTの前身の独立行政法人 沖縄科学技術研究基盤整備機構においてマリンゲノミックスユニットを立ち上げる。2011年よりOIST教授。
OISTにて世界で初めてサンゴの全ゲノムを解読し科学誌Natureに発表(2011年)して以来、サンゴのDNA研究に関わってきた。沖縄の地元の海人(うみんちゅ)たちと交流する中で、昔の沖縄の海はもっと美しかったと聞かされる。サンゴの大規模白化が繰り返されるたびにサンゴの未来を心配する中で、自分の研究や知識をサンゴ礁の保全に役立てたいと、2023年7月にOISTサンゴプロジェクトを立ち上げる。
サンゴ礁、そして私たちの海の現状
いま、世界中の海では、サンゴの多くの種が絶滅の危機に瀕しています。
これは世界的にも大きな課題であり、これまでにない規模と速度で悪化しています。
このままほうっておくと、サンゴ礁に棲む魚などの生物の量は激減し、白く美しいビーチはなくなってしまうでしょう。
これらの要因や発生規模は様々ですが、いずれも人間活動が大きく影響しています。
サンゴ礁が消滅したら世界はどうなる?
① 多くの海の生物種が減少していく
世界には1300種類ほどのサンゴが生息し、海の生物種のおよそ30%がサンゴ礁で暮らしています。現在、その3分の1において絶滅が危惧されています。もしサンゴがいなくなれば、そこに集まる生物が生きていけなくなり、美しい白い砂浜もなくなってしまいます。
② 漁業や観光業、人々の生活にダメージを与える
日本を含むアジア地域の約19億人が、漁業や観光などにおいてサンゴ礁に依存し、大きな経済効果を生んでいます。そのサンゴ礁がなくなれば、経済的に大きなダメージを受けます。また、サンゴ礁は天然の防波堤として、沿岸部の人々の生活を高波から守ってくれます。
③二酸化炭素の循環に影響を及ぼす
サンゴは、その体内に共生している褐虫藻が光合成することにより、大量の海の二酸化炭素を吸収してくれています。サンゴ礁がなくなれば、二酸化炭素の循環ができなくなり、地球環境が悪化します。
世界初の最新サイエンスを使ったプロジェクト
サンゴ礁の減少を止めるために、まず、どのサンゴがその土地の海にとって最適か、サンゴの遺伝情報「ゲノム」を理解しなければなりません。本プロジェクトのリーダーである佐藤教授は、ゲノムと環境DNA(eDNA)の知識を役立てるというアイデアを思いつきました。そしてこれまでに得られた知識をもとに、沖縄の特定の場所に植えるのに最適なサンゴの種類を特定しました。このプロジェクトは、ゲノム解析をしたサンゴを海に植えつけるという世界初の試みなのです。
私たちの最終ゴール
サンゴの植え付けをすることで身近な海のサンゴ礁の保全を行い、さらにその場所の生物多様性や二酸化炭素の変化量を継続的に調査分析することで、植え付けが生態系にどのようなプラスの影響をもたらしたのかを明らかにします。プロジェクトの最終目的は、私たち皆の海の環境保全に寄与することです。
ゲノムとは?
ゲノムは生物を理解するために必須の遺伝情報の全てです。
OISTの佐藤矩行教授が率いるマリンゲノミックスユニットは、サンゴの研究を10年以上続けてきました。世界で初めてサンゴと褐虫藻のゲノム遺伝子配列を解読した研究チームです。
このプロジェクトでは、ゲノム情報を活用してサンゴという生物をよく知り、5年、10年先を見据えたサンゴの植え付けと育成を行い、健全なサンゴ礁の保全・再生を目指します。
eDNAとは?
eDNA(環境DNA)は、水や土壌、大気などの環境中に放出されたDNAの総称です。
本プロジェクトのリーダーである佐藤矩行教授とその研究チームは、海水に存在するeDNAを解析することでその水を取った地点の海に生息するサンゴを91%以上の精度で識別する方法を開発しました。この技術により、ダイバーたちが海に潜って確認しなくても、1リットルの海水を汲んでくるだけで、どの場所にどのような種類のサンゴが生息しているかわかることができました。
(写真:西辻光希/OIST)
サンゴの植え付け
サンゴの植え付けには、恩納村漁業協同組合が独自に開発した「ひび建て方式」を採用しています。許可を得て採取したサンゴの破片を陸上で養殖し、海底に鉄筋とパイプを立て、そこに養殖したサンゴをセットしていく方式です。これにより、植付けたサンゴの生存率が上がると言われています。
(写真: 座安佑奈/OIST)
水中ドローンも活躍
一般的なサンゴの水中調査は、ダイバーが海に潜り目視や手作業で行いますが、このプロジェクトでは、NTTコミュニケーションズがOISTの要望を容れて製造メーカーに開発してもらったサンプラーを付けた水中ドローンを活用し、浅い場所はもちろん、ダイバーが潜ることが困難な水深60メートル以上の場所まで、サンゴの生息調査を行います。
NTTコミュニケーションズが製造メーカーに依頼して開発した特別なサンプラー付きの水中ドローン
寄付の使われ方
5千円の支援でサンゴ1本の植え付けにつながります*。
皆様からいただいたご寄付は、
・サンゴの植え付け活動
・調査研究
・環境教育、広報活動
・上記活動にかかる交通費
に使わせていただきます。
*植え付け場所により植え付け費用は異なりますが、平均すると1本の植え付けに5千円ほどかかります
プロジェクトリーダーの佐藤矩行教授からメッセージ
私の所属するOISTマリンゲノミックスユニット研究室は、サンゴの研究を10 年以上続け、世界で初めてサンゴの、そしてサンゴと共生する褐虫藻、さらにはサンゴを食い荒らすオニヒトデのゲノム遺伝子配列を解読することに成功しました。そんな私にとってサンゴが死滅し続けていることは、放置できない大きな問題です。「今まで研究してきた知見を活かし、サンゴや海の保全に微力ながら役立ちたい」 そう思い、このプロジェクトを立ち上げました。サンゴが直面している状況は、待ったなしです。より多くの場所で調査や植え付けをし、世界の海からサンゴ礁がなくならないよう力になりたいと考えています。ぜひ皆様のお力を貸してください。
佐藤矩行教授(前列右端)と、プロジェクトの協力者たち
プロジェクトのウェブサイトで最新ニュースをお届けしています。
https://www.oist.jp/ja/oist-coral-project
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沖縄科学技術大学院大学(OIST)
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、理工学分野の5年一貫制博士課程を置く学際的な大学院大学です。世界の科学技術に貢献するとともに、国内外の優れた研究者を招へいして質の高い研究を行い、世界最高水準の研究拠点を形成し、沖縄の技術移転と産業革新を牽引する知的クラスターの形成を図ることを目的として、日本政府によって設立されました。 OIST マリンゲノミックスユニット 教授 / OISTサンゴプロジェクト プロジェクトリーダー 佐藤矩行 京都大学教授を退官後、2008 年よりOISTの前身の独立行政法人 沖縄科学技術研究基盤整備機構においてマリンゲノミックスユニットを立ち上げる。2011年よりOIST教授。 OISTにて世界で初めてサンゴの全ゲノムを解読し科学誌Natureに発表(2011年)して以来、サンゴのDNA研究に関わってきた。沖縄の地元の海人(うみんちゅ)たちと交流する中で、昔の沖縄の海はもっと美しかったと聞かされる。サンゴの大規模白化が繰り返されるたびにサンゴの未来を心配する中で、自分の研究や知識をサンゴ礁の保全に役立てたいと、2023年7月にOISTサンゴプロジェクトを立ち上げる。
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